肩の痛み

肩の機能は複雑

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肩の関節は人間の関節のなかでもっとも大きく動き、ほとんど全方向に動くようにできています。大きく動くということは、肩を動かす為に様々な組織が複雑に機能しているということです。

肩の関節は、腕の骨の頭(骨頭)に対して肩甲骨の受け皿が小さい構造になっています。そのために肩関節は、受け皿を補強するように腱板(小さな筋肉群と腱の集合)、滑液包(動きをスムーズにする液の袋)、靭帯、筋肉が複雑に組み合わさっています。また、肩だけでなく肩甲骨自体にも動きがあり、肩を動かす際には肩の土台となる肩甲骨の動きも関係します。

中高年で起きる、いわゆる四十肩、五十肩は加齢と誤った使い方の繰り返しによって、肩を構成するいずれの部分の強度が少しずつ低下して、それに加えて、ちょっとした肩の動き(ケガ)をきっかけに痛みが引き起ってしまいます。

若年者の肩痛 ― 特に野球肩

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スポーツをしている人の肩の痛みは、加齢による負担とは別に、間違った運動のフォームや使い過ぎ、年齢の問題、ケア不足などで引き起こされます。

スポーツでの肩の痛みの代表例として野球肩があります。野球肩とは、滑液包炎、棘上筋腱炎、上腕二頭筋腱炎、肩甲上神経麻痺による棘下筋萎縮、インピンジメント(impingement)症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグ肩)などの投球動作によって引き起こされる、さまざまな肩関節障害の総称です。

治療は、痛みがでてしまった初期に、ノースロー(=投球禁止)をしっかりと行います。痛みを我慢して投球を続けてしまうと痛みをかばって間違ったフォームを覚えてしまい、競技のパフォーマンスが落ちてしまうこともあります。

野球を一生懸命されている方にとっては、投球制限はかなり辛いことだと思いますが、その間に肩周囲の筋力トレーニングや、投球にとって重要な体幹の可動域や筋力、他にも下肢の機能など改善をさせていきます。また投球開始に関しては、どれくらいで治るのか心配どころだと思いますが、しっかりとスケジュールを立てながら投球数、投球距離などを細かく指導しながら進めていきます。

肩の治療

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上記の通り、大きな動きを可能にするために肩の機能は複雑です。多くの場合、肩の痛みの原因は一つでなく、色々な原因が積み重なって症状が起きてしまいます。痛みを我慢してしまうと、痛めているところ以外にも負担が広がり症状が複雑になって、症状改善に時間がかかってしまいます。痛みがでたら早めに受診することが大事です。

また日常生活での使い方のポイントとしては、一日一回はしっかりとバンザイなどをしてちゃんと肩が動かせるのか確認することが重要になります。(日常生活において、肩を最大限まで上げることはないため、知らない間に肩の動きが悪くなっていた・・・ということもあります。)

肩の痛み(いわゆる四十肩、五十肩)は、受診して頂いた時期によって異なりますが、痛みが出てから治るまでに半年から1年前後かかる場合もあります。

症状の段階

五十肩の症状には、症状の時期から大きく分けて3つの段階があります。治療は、各段階に合わせて適切な治療や使い方をする必要があります。どの時期に自分があるのかを自己判断して、間違った使い方をしてしまうと症状が長引いてしまうので、受診して適切な治療を受けることが重要です。

  • 急性期
  • 炎症が強く起こり、激しく痛み、痛みで肩の運動制限がある。夜間痛(夜痛みで寝むれないなど)

    この時期のポイントは早く炎症を落ち着かせ、急性期から抜け出すことです。治療としては、安静が第一です。この時期の動かす練習は、痛みの少ない『振り子運動』などを行います。痛みを我慢して無理に使ってしまうと、炎症がなかなか収まらず急性期が長引けば、後の慢性期・回復期にかけて肩の運動制限を強くなり、リハビリが大変になります。
    安静に関しては、患者さんの生活に合わせてアドバイスさせていただきます。
    また、痛みが非常に強い場合には、注射や薬を併用した方が改善が早い場合もありますので、症状の状態によっては適切な病院へ紹介もさせていただきます。

  • 慢性期
  • 炎症がある程度落ち着いて、激しい痛み(鋭い痛み)は治まる。動かした際の痛みは残って、運動制限がある。

    この時期のポイントは、また炎症を強くしてしまわないように注意しながら肩の動きを改善させることです。治療は、肩に負担の少ない動きの方向から進めます。無理に動かしすぎてしまうと炎症が再燃して急性期に逆戻りしてしまいます。また、逆に適切に肩を動かす練習をしないと慢性期が長引いて肩が癒着が進んで固くなり、リハビリに長期かかってしまいます。通院していただきながら、「やりすぎず、やらなさすぎず」の運動量で、治療をしていきます。また、その時期に必要なセルフトレーニングの指導もします。

  • 回復期
  • 動かした際の痛みはかなり改善するが、運動制限を残し、動かせる最終域で突っ張るような痛みがある。

    この時期は、痛みが改善し、肩の動きの悪さを改善させていく時期です。肩は100°程度挙げることが出来れば完全に動かせなくてもある程度は生活に支障なく使えてしまいます。痛みが消えて油断しがちですが、この時期に肩をしっかりと動かさないと癒着した肩の運動制限がいつまでも残ります。(逆に言えば、日常生活で使うだけでは、しっかりと肩を動かすことがないので今以上に動きが改善しないということにもなります)
    家事や以前にやっていたスポーツを再開して、積極的に肩を使いながら改善させていく必要があります。
    当院でも、積極的に動かす施術をしてご自身だけでは動かしきれない組織のストレッチなどを行っていきます。

治療:物理療法・徒手療法

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最新治療機器で病態の時期に応じて、急性期には治癒を促進、その後は肩周囲組織の緊張を改善・除痛など、症状に合わせてオーダーメイドの物理療法を行います。

肩の症状の多くは、原因が複数あることが多いため、どの原因から改善させていくか考えて一つ一つ改善させるようなマッサージやストレッチ・可動域訓練・モビライゼーションを行います。また、肩の治療はご自宅でのセルフトレーニングをしっかりと行うことも重要ですので、それぞれに合ったトレーニング方法の説明もさせていただきます。